日本の音楽界には、世界に名を知られる“レジェンド”がいます。
その中でも、後世の音楽シーンに大きな影響を与えたバンドがあるのをご存知でしょうか?
その名は Yellow Magic Orchestra(イエロー・マジック・オーケストラ)。
坂本龍一・細野晴臣・高橋幸宏という3人の巨匠が、1978年に結成した伝説的ユニットです。
デビューから40年以上たった今でも根強いファンとフォロワーがおり、現在でもリマスターや映像媒体が発表されています。
彼らの音楽は、テクノやエレクトロといったジャンルの枠を超え、現代のポップスやクラブミュージックにもつながる“電子音楽の源流”とも言える存在。
この記事では、そんなYMOについて初心者にもわかりやすくご紹介していきます!

YMOとは?
YMO(Yellow Magic Orchestra)は、1978年に日本で結成された電子音楽ユニット。
当時まだ珍しかったシンセサイザーやリズムマシンを駆使した先鋭的なサウンドで、国内外に衝撃を与えました。
ジャンルとしては「テクノポップ」「エレクトロニカ」と表現されますが、3人のメンバーそれぞれの個性が融合した音楽性は、ジャンル分けが難しいほど革新的。
クラシックや民族音楽、レゲエなど様々な音楽性を取り入れ、アルバムや楽曲ごとに魅せる雰囲気は多種多様。
当時の音楽シーンだけでなく、文化やファッション(もみあげの部分を剃り落とす「テクノカット」など)まで社会現象と言えるほどの反響を起こしました。
メンバー
坂本龍一
- 作曲家・ピアニスト・プロデューサーとして世界的に活躍。愛称は”教授”。
- 1983年、自信も出演した映画『戦場のメリークリスマス』で映画音楽も手掛け、映画『ラストエンペラー』でアカデミー賞受賞。
- 2000年代以降は環境・社会問題にも積極的に発信し、音楽以外の分野でも影響力を持つ存在でした(2023年逝去)。
細野晴臣
- YMO以前にはっぴいえんどやソロ活動で既に“日本の音楽の開拓者”として存在感を放っていたベーシスト。
- ロック、テクノ、アンビエント、ワールドミュージックまで、ジャンルを越えて探究し続ける職人的存在。
高橋幸宏
- ドラマーであり、YMOではボーカルやビジュアル面でも中心的存在。
- テクノポップを日本のポップスに馴染ませた立役者。
- ソロや「サディスティック・ミカ・バンド」など、幅広い活動を展開しました(2023年逝去)。
YMOが与えた影響とは?
YMOは単なる一時代のヒットグループではありません。
彼らの音楽が与えた影響は、今の日本のポップスの土台そのものと言っても過言ではないのです。
- テクノ・エレクトロの国内普及
- ボカロ文化・DAWを使った宅録音楽の原型
- Cornelius、電気グルーヴ、Perfumeなど多数の後続アーティストに影響
- 海外ではAphex Twin、Daft Punk、Thundercatなどがリスペクトを公言
また、音楽を“コンセプチュアルに演出する”という手法(衣装、映像、アートワークなど)もYMOの大きな革新でした。
おすすめアルバム
YMOはアルバムごとにコンセプトや音楽性を打ち立てているため、全体の雰囲気や流れを味わうためアルバム単位で聞くことをおすすめします!
『イエロー・マジック・オーケストラ』
まずは1stアルバムから。
A面はゲームセンターのBGMから始まり、宇宙を感じさせる『コズミック・サーフィン』、スターウォーズの世界を表現したかのような『シムーン』などまさにテクノポップな楽曲が続きます。
A面のテクノポップを引き継ぎつつ、B面は東洋風のオリエンタルなサウンドへ。
メンバー3人それぞれが作曲した楽曲がメドレー形式で続きます。
まさに風のように美しく流れるメロディの『東風』、中国風な雰囲気ですが、どこかヨーロピアンな『中国女』、壮大な音色とエレクトロ・アジアンな『マッド・ピエロ』・・・まさにイエローマジック。
また、本アルバムにはアメリカ市場向けにリミックスされた、通称「US版」も存在します。
オリジナルとUS版、それぞれに異なる魅力があり、「どちらが良いか」というテーマは、今なおファンの間で語り継がれる定番の論争となっています。
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
誰しも一度は聞いたことがあるでしょう『ライディーン』『テクノポリス』が収録されており、YMOを世界的に轟かせることになったアルバム。
沖縄民謡 + ディスコという異色の組み合わせの癖になるリズムの『アブソリュート・エゴ・ダンス』、The Beatlesの名曲を破壊的にアレンジした『デイトリッパー』、あのマイケル・ジャクソンもカバーーした『ビハインド・ザ・マスク』など、ただのテクノポップでは済ませない、まさにYMOを感じられるアルバムです。

テクノデリック
日本を席巻したYMOですが、ファンが期待するような作風を避け、より挑戦的・実験的な音楽を追求した最終形態とも言えるアルバム。
かつてのキャッチーなメロディやサウンドは少なく、全体的に少し暗いミニマルな印象ですが、様々な音楽とテクノを融合させた、革新的なアルバムとなっています。
アンニュイなサウンドとサイケデリックなボーカルの『ジャム』、インダストリアルなサウンドと重々しいピアノのリフが印象的な『階段』など、絵画の中の世界を感じさせるような楽曲や
一見キャッチーだが奇抜なメロディと歌詞の『体操』、今後の歌謡路線の先駆けとなるボーカルが収録されている『手掛かり』など印象的な楽曲も収録されています。

『浮気な僕ら』
当時、YMOは自身の活動と並行して、「テクノ歌謡」と呼ばれるスタイルで他アーティストへの楽曲提供も行っていました。
アーティストの歌を電子音楽としてプロデュースし、提供するという手法は、今でこそDTMなどで当たり前になっていますが、当時の日本ではまさにYMOがその先駆けでした。
そんな流れの中で制作されたこのアルバムは、“そのテクノ歌謡を自分たちでやってしまった”ような作品。
キャリアとスタイルを考えれば、ある意味では異端的とも言える一枚です。
全曲に歌詞が付き、従来のインストゥルメンタル中心のスタイルから一転、歌謡曲的でキャッチーな「歌モノ」アルバムとして仕上がっており、YMOの柔軟で実験的な姿勢がうかがえる作品となっています。

まとめ
音楽史に名を残す伝説的ユニット、YMO。
テクノやポップスが好きな方はもちろん、“音の未来や革新性を感じたい人”にもおすすめしたいアーティストです。
彼らの音楽は今聴いても古びることなく、むしろこの先の未来すら感じさせてくれます。
まずは1枚、気になったアルバムを聴いてみてください。新しい音楽体験が、そこにはあります。